Moon Palace

ムーン・パレス
著:ポール・オースター
訳:柴田元幸

一旦停止、というのは、停止線の前でピタリと止まって3秒経過しなくてはいけないそうだ。オートバイの場合は足を地面に付かなくてはならないらしい。
3秒、意外と長いのだ。
1秒じゃあ駄目なんだそうだ。

ええ、そうですとも。
…反則切符を切られました。
お金をドブに捨てるというのは、こういう事なのである。

我が輩は嫌な事があると比較的直ぐに投げやりになる。
目の前でガンガン「一旦停止」せずに走り去る車を見ながら、
パトカーの中で警官の話を聞いている時、
心の扉が
「ひゅー、パタン、パタン、パタン」
と音を立てて閉じて行った。
どうでもいいや、も〜う、どうにもなりはしない〜ぃ、ららら〜。
と、適当に歌える程度に、投げやりな気分を味わった。

主人公は、確か反則切符は切られていなかったが、
投げやりな気分を持続させる事に意固地になっていて
助けの手を迂回する事を選ぶひねくれ具合も念の入った男である。
自分のひ弱な自尊心から出て行けないではみ出して行くその男が
盲目で、車椅子の生活を送る老人の介護を仕事として行い、
とてつもない巨漢の大学教授と知り合い、
失う事により得られるものがある、と知るお話。

と、書くと、何の興味も湧いて来ないかもしれないが、
これは結構いい本である。
ユーモラスでもあり、
辛辣でもある。
そして、静かだ。

グリューワインでも飲みながら…。
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by sheknows | 2006-01-04 21:46 |

珈琲も紅茶もお茶もお酒も好き


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